夢魅る人々

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愛梨と同居を始めて四年目、恐らく愛梨も結婚を意識しているはずである今日この頃。 学生時代からお世話になっている愛着ある部屋ではあるのだが、元々が一人用の部屋なので大人二人ではかなり狭い。 しかも最近は、仕事用の書籍を頻繁に購入するために、現在の本棚は占領尽くされてしまい、溢れ出た実用書たちは床にまで侵食していた。 日頃は互いの職場に出社し、帰ってくるなり二人して同じベッドに身を寄せ合い夢に沈む。 それを繰り返えす日々なので、普段は部屋の広さをさほど気にしないのだが、たまに互いに休日が重なると、その度に部屋の狭さを思い知らされた。 そんな生活を永遠に繰り返しても学習をしない僕は、部屋の広さで後悔する度に、自身の無能さを痛感した。 しかしそれにも理由があるのだ。
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