不眠症の僕と眠り姫

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俺が4月の飲み会で素面だったことなんか何で覚えてんだよ。 どうせ一緒に寝るって言ったのは覚えていないんだろ。 いや、覚えてる俺がキモい。 本気にしていない。びっくりしたから覚えてるだけ。 頭冷やしてこよう。 タバコだけ持って席を立つ。周りの連中の声が大きくなっている。しばらく居なくてもバレないだろう。 と思ったんだが。 今、タバコの味がしねえ。 牧野、出てきた 。 「吸わないよな?」 「……帰ろうと思ったんだけど」 鞄の持ち手をぐにぐにと曲げている。 けど? 「バスがもう無いから」 バス。 そうか牧野バスなのか 。 「俺もダリいから抜けるわ」 店内に戻り、鞄を取る。 牧野はいた。 逃げてもいいのに 。 「で?どうすんの」 牧野は酔っている。 素面の俺 。 「うち来る?」
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