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 テルが軍用義手でぽんっと肩を叩いてきた。 「そうか、敵陣がよく見えるところで待機か。ある意味、待ち伏せみたいなもんだな」 「こんな感じでいいかな、ジャクヤ」  岩の上で黒い影が動きだした。するすると背よりも高い大岩から下りてくる。 「了解だ。となると最も危険なのは、移動中だな。この演習場には敵がうじゃうじゃいる」  テルは立ち上がるといった。 「作戦変更で、どれくらいおれたちが勝つ確率は上がったんだよ」  ジャクヤが吐き捨てるようにいった。 「そんなことはぼくにはわからない。たぶん4~5パーセントくらいはましになったんじゃないか。10パーセントが15になったくらいのものだ」  タツオは無言だったが、心のなかでは感心していた。敵はこちらの10倍はいるのだ。15パーセントの勝率なら、決して悪くないかもしれない。ここにいる3人のうち誰かが、生きて夜明けを見ればいいのだ。全滅でなければ、こちらの勝ちである。  タツオは振り向いて東の空を見た。夜明けの2時間前、夜空は暗さの頂点に達しようとしていた。
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