番外編 夢に向かって~真由子の尊敬する父

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 思わず肩を落とした浩一に、雄一郎が慰めとも追い打ちとも取れる言葉をかける。 「まあ……、彼は自分の事は二の次で、仕事と家族に関してこれまで一切妥協せず、手を抜かずに何事もこなしているから、私としては構わないと思っているんだが」 「姉さんに関する諸々だけは、もう少し手を抜いた方が良い様な気がするのは、俺の気のせいですか?」 「………………」  そんな風に冷静に突っ込みを入れた浩一から雄一郎は目を逸らし、玲子と総一郎も、自分を見つめる恭子の視線から目を逸らした。  結局、インパクトが有り過ぎる真一と真由子の作文によって毒気を抜かれてしまった面々は、再会当初の気まずい雰囲気を保つ事など出来なくなり、その日浩一達が宿泊先のホテルに戻るまで、ぎこちないながらもそれなりに会話を交わし合ったのだった。
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