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外では相変わらず、この時期に特徴的な、しとしととした粘り気のある雫が、悪夢を見た後の涙のように少しずつしたたり落ちていた。
彼のあのときの言葉をふと思い出して、なるほどその通りだ、と思った私は、特殊な装置によってろ過されて、透き通ったきれいな水になった雨水をじっくり眺めた後、その透明色の液体を身体に流し込み、のどを潤した。
そのときから、毎晩見ていた悪夢が心地よい夢へと変わったのを、私はいつまでも忘れないだろう。
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