冬華

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「やったあぁ!!」 心底嬉しそうに歓声を上げ、千夏は私にハイタッチを求めた。勿論私も笑顔でそれに応じる。やったじゃん、良かったね、なんて言葉を添えて。 「いやあ、冬華が一緒に神社でお願いして、てるてる坊主作ってくれたおかげだよ!」 「ううん。千夏の思いが神様に通じたんだよ」 千夏は今晩の花火大会に、想い人である秋君を誘ってOKを貰っていたのだ。だから千夏は今日晴れることを切望していた。 そして彼女の願いはたった今神様に通じたのだ。先程までの雨が嘘のように太陽は存在を主張し始めた。 きっと、神様にはお見通しだったのだ。千夏の真剣さも、心のどこかで雨を願った私の汚さも。 私は秋君が好きだった。 この晴天は、純粋に二人の幸せを願えなかった私への罰でもあるのかもしれない。 着地した千夏の足が水溜りに作り出した波紋は、私の笑顔を優しく歪めていた。
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