03 - 一回目/浮遊感の正体は

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 その夕食時に、僕は、ずっと我慢していた怒りを爆発させることになる。  なのに、僕は……姉が出かけるのを、止めることができなかった。  顔を手で覆いながら、まるで自分のものでないかのような言葉で、自問した。 「どうして……今日の出来事が、頭の中に、あるんだ?」  ――帰宅した後、姉は普通通りだった。  会話の流れも、朝、したようなものになった。  怒りはある。彼女への想いもある。姉への怒りもある。  なのに、だ。  僕は、怒るよりも、その気味の悪さに頭を支配されていた。 「――どうして、こんなことを、したんだ」  怒るトーンも、あまり迫力はない。  もちろん、今までため込んだ分もあるはずだから、声は荒々しいはずなのだ。 (まるで、他人のようなんだ) 「ふふ……」 「なにがおかしいんだ、姉さん」  怒りの僕に、笑う姉。  すると姉は、あっさりと、その理由を口にした。 「だって、二度目だもの。怖いけれど、少し、慣れるものねって」  ――僕には理解できない、奇妙な理由とともに。
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