05 - 二回目/見させられる夢

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 ――そして、なぜだ。  事故現場でも、病院でも、地獄でもなく、ただ自分の部屋の光景が広がっているのは。 「……うそ、だろ?」  白い天井を眺めながら、僕は呆然と呟く。 「あなたは、もう、死ぬことはないわ」  声のした方へ、ゆっくりと視線を向ける。  そこには、朝食の準備をしているはずの、姉と同じ女性の姿があった。 「インプットしたデータから再生される、ちょっとだけ違う、あの日のあなた」 「だって、それは仕方ない。同じだけなら、VRデータやビデオファイルの再生だけで済むのだから」 「わたしは、夢を見たいの。あの日のあなたの、でもあなたがしなかった、なのにあなたでしかない選択の日々を」 「だから、永遠にこの揺りかごの中で、わたしと一緒に過ごしましょう?」  逃れられない。  それを知った、僕は。 「……えっ?」  眼を見開く姉を、横目に見ながら。  窓枠のガラスを、突き破った。  全身に走った切り傷の痛みと、瞬く間に全身へとかけめぐったアスファルトの衝撃。  考える意識を、それらに奪われながら。  ――この悪夢が終わることを、望んでいた。
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