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答えると、にっこりと笑った姉は朝食の準備に戻った。
いつもどおりの、朝。両親がいなくなってからは、姉と二人で家のことをやっている。
ただ最近は、友人の家に外泊する時もあって、少しまかせきりの時も増えていたようだけれど。
「どうして、僕は……」
気になるのは、胸の中にある、ざわつきだった。
「朝食まで、少し待ってね。卵の焼き加減が、もう少し……」
姉の受け答えは、普通のもの。
でも、僕の記憶は、訴えかけている。
「白い、光が……」
「さぁ、ご飯を食べましょう。今日は、あなたの好きな……」
「姉さん、聞いてよ! おかしい、おかしいんだよ!」
そうだ。
どうして僕は、普段通りに目覚めて、当たり前のように姉は朝食を作っているんだ?
「僕は、牽かれて、死んだはずなのに!」
絶叫して、姉に抵抗する。
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