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……そうだ、想い出した。
この日は、恋人と出かける約束があったのだ。
大切な人。明るく前向きで、目標に向かって、でも僕と話すのを楽しんでくれる彼女。
「あの子は、あなたにふさわしくないわ。だから、別れてもらったの」
――その楽しい時間が終わり、別れた後で。
姉は、彼女と会い、僕との別れを切り出したらしい。
「そんなの、姉さんが決めることじゃないだろう!」
彼女は落ちこみながら、姉に否定されたことを悲しんでいた。
どうしてなんだろう、って、何度も僕に問い返してきた。
「そうだ、彼女は夜に泣いて……」
――言ってから、自分の言葉の奇妙さに気づく。
(今、起きたのに、夜?)
じゃあ、泣いていたのは、昨日のことなのだろうか。
でも、記憶にある今日の日付と、昨日の出来事が、ズレている。
「……いけないわ。その会話、まだ朝の時点ではしていなかったじゃない」
そんな僕に追い討ちするかのように、姉は、奇妙なことを言い出した。
「朝の、時点?」 奇妙な言葉に、僕も気づく。
――そうだ。それは、今日の夜……まだ、これか らのことじゃないか?
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