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「リカ、君はすごく可愛い」
「やめて」
僕は瞬時に顔をそらしていた。
アンジュを真直ぐ見つめていると
照れくさいと言うより。
「君みたいに綺麗な人に言われたって。ちっとも――」
彼に褒められることが
申し訳ないような気持ちになってくる。
「知ってるよ。僕は美形だ。言葉も分からない時からみんなにそう言われてきた。でもね、君みたいに可愛くはない」
アンジュの指は
僕の剥き出しの首筋から肩先に滑り
また顎の先まで戻ってゆく。
「君は可愛い」
甘い香りのする人差し指は
最後に唇に止まって
「とても――」
真顔で囁いた。
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