第2章 1分間

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「リカ、君はすごく可愛い」 「やめて」 僕は瞬時に顔をそらしていた。 アンジュを真直ぐ見つめていると 照れくさいと言うより。 「君みたいに綺麗な人に言われたって。ちっとも――」 彼に褒められることが 申し訳ないような気持ちになってくる。 「知ってるよ。僕は美形だ。言葉も分からない時からみんなにそう言われてきた。でもね、君みたいに可愛くはない」 アンジュの指は 僕の剥き出しの首筋から肩先に滑り また顎の先まで戻ってゆく。 「君は可愛い」 甘い香りのする人差し指は 最後に唇に止まって 「とても――」 真顔で囁いた。
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