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第2章 1分間
「――僕死んだの?」
次に目覚めた時
僕はアンジュの部屋にいた。
「いや、生きてるさ」
ベッドに横たわる僕を見下ろす
本物の天使と見紛う美青年は――。
「見ろよ」
手にした小さな虫篭を
自慢げに僕の方へ掲げて見せる。
「あ……」
「信じられるか?こいつ戻ってきたんだ」
中にはあの玉虫がいた。
「馬鹿な奴」
逃げ出そうと思えば
逃げ出すチャンスはあったのに――。
「よっぽど僕が好きなんだ」
と虫篭をフックに引っ掛け
鏡の前。
アンジュは自己愛の塊みたいな顔して
様々な角度から己の姿を鏡に映した。
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