《第6章・愛情ストーリー》

2/8
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
相川はベッドで眠る舞の髪を撫でる。 『オネエ協定…隠し事はしない約束よ…舞ちゃん』 道路上にしゃがみ込んでいた舞を見つけてから3時間が経っていた。 シャワーを浴びる舞を部屋で待ち、泣きそうな顔が笑顔になるように買ってきたアイスクリームを食べ。 なだめすかして眠るようベッドへ促し20分後になる。 茶色でゆるいフワフワの髪に手を差し入れサラサラと落とす。 『…ひどい…』 彼女の言葉に彼はサッと手を引っ込める。 『ごめん…』 だが寝息をたて始め寝言だとわかると相川はベッド側にしゃがんだ。 『どうしたの?涙を滲ませて眠るなんて…』 どうしたの!? 河田に何を言われたの? 「鍵をかけて郵便受けから落としてくから、相川」 そんなメールをし深夜1時になるくらいに、 彼は部屋を後にした。 *** 次の日。 レンタル屋中野西店、夕方。 相川は河田が立つレジに立っていた。 『新作1泊2日になります、返却は…』 店オリジナルのバッグに入れながら河田は営業スマイルをする。 『河田さん、舞に何を言いました? 彼女泣いていましたよっ。彼ならば優しい言葉をかけてあげて下さいっ』 相川はお釣りとレンタルバッグを無表情で受け取った。 『営業時間には不要な会話は禁止されています。 すみませんが、後ろのお客様がまっていますから』 河田は表情を変え睨み付けていた。 足早に店を出て車を出す相川もまた、悔しそうにアクセルをふかし左折していたのだ。 舞を哀しませないで! あんたはうらやましい立ち位置にいるから! 彼氏ならば舞を抱けるでしょう!
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!