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眩しかった。
梅雨の晴れ間の恵まれた陽射しが。
幸せそうな二人が。
眩しくて、
綺麗で、
ただただ羨ましくてオレは目を逸らした。
雅文と、その隣に立つお嫁さんが、
白くて眩しくて、
自分のキモチが汚れて見えた。
雅文とカナとオレ。
3人は幼馴染みでずっとずっと一緒だった。
オレと雅文がカナに恋をするのは自然で。
でも、
好きだと言えずにいたオレより、
猛アタックした雅文を選んだのも当然で。
これからもずっと一緒にいたかったけど、
雅文とカナの二人が、
これからもずっと一緒で…。
初恋の相手だった女の子が大親友の嫁さんというカタガキになった昨日の土曜日。
唯一記憶のある二次会にいた女子を思いだそうと試みながら、
歯ブラシにニューッと歯磨き粉を絞った。
「わっかんねーなぁ…」
キッチンで冷えたミネラルウォーターを流し込んでテクテクと寝室へ戻った。
いくらなんでも顔を見りゃ思い出すだろ…。
ベッドにうつ伏せた背中のラインが、
薄手の毛布から見てとれた。
艶のある黒く長い髪が、枕からシーツへと流れ落ちていて、
こんな色の女いたっけ…と、必死で頭ん中の引き出しを開けたり閉めたりしてる。
「うーん………」
“ドチラにお勤めなんですか~?”
“えー♪カノジョさん、いないんですか~?”
キツい香水のニオイ撒き散らして近づいてきていた女は確か明るい茶色な髪だったし、ビックリするくらいクルンクルンだった。
あぁ…そういえば……………
・・・・・・・・
“三次会…行きますか?”
“あー…オレはいいや”
“えー♪行きましょぉよぉ~”
“いや…行かないよ、オレは”
“いいじゃないですかぁ~!”
“『行かない』って言ってるの、わかんないの?”
“え?…あんた…誰?てか、話に入って来ないでくれる?私と西森さんで喋ってんだけど?”
“うるさい、三十路女ッ!”
“は?!”
“くふふふ(笑)”
“西森さんってば~笑わないでくださいよぉ~”
“うーわぁ…必死さが痛いわー”
“ちょっ!何なのあんたッ!”
“ぷくくく(笑)”
・・・・・・
えーっと……
あの子……
誰………だっけ……?
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