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横で寝息をたてている身体がオレの想像以上にデカくなった声にピクン…と反応した。
「ぅおっと……いっけね…」
『あっ……誰かいるの?そこに』
「あー…うん、まぁ…」
『お邪魔だった?』
「いや、大丈夫…」
“かなりグッスリ寝てるわ”と付け足すと、何かを察した雅文が“はいはい…なるほどなるほど”とオレをからかう。
『グッスリ寝ちゃうくらい、昨夜はハッスルした、と?(笑)』
ハッスル…って!
いつの時代の言葉だよ(笑)
正直な話、身体は“ハッスル”したっぽいんだけど、その相手が未だにわからないんだよね…なんて言おうもんなら、
“いい加減にそーゆーの卒業して、落ち着きなってば!”なんて、怒りだしそうだから、否定も肯定もせずに、
「うるせーよ」
とだけ答えた。
雅文と話しながら、ベッドから降りてキッチンに向かい、残り少なくなっている煙草に火をつけた。
「で?詳しく聞かせてよ」
『うん。昨日のさ、二次会に行くって言って…』
「あぁ…いたっけな」
『お前が知ってるやつらはほとんどいないんだよ?って言ったのに、どうしても行くって聞かなくて。ま、カナもおれもいるから、そばにいればへーきかなって思ってたんだよ…』
「うんうん…」
『で、そろそろお開きってなったとき、みんなのタクシー呼んだり、三次会どうするなんて喋ってたら見失っちゃって…』
「そういえば…そのあと見かけなかったな……」
『電話してるんだけど出ない…というか、電源入ってないんだよ。何かあったのかな……』
「……心配なのはわかるけど、さ…あいつだってもう大人だしそれはないんじゃ…」
『まだ子供だよっ!そりゃ年齢は21かもだけど、おれにしたらまだまだ十分子供なのっ!』
「…はいはい…(笑)」
これ以上逆らうと、千紘がどれだけ可愛いか、どれだけ大切なのかを熱く語り始めるから、怒らない程度に軽い相づちを打った。
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