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通話を終わらせたのと鼻唄混じりで浴室から千紘が戻ってきたのが、ほぼほぼ同時だった。
スマホをテーブルに放り、マジでどうすっかな……と、そのテーブルにおでこをコン…と乗せた。
「お兄ちゃん、何か言ってたー?」
ったく…気楽な感じで聞くんじゃねぇよ…。
「夜には帰るんじゃない?って言ったら、まぁ…どうにか納得……って、※☆#¥○?」
顔を上げるとそこには、
身体にバスタオルを巻き付けた千紘が…。
「なっ…なっ…なんつー格好してんだよ!何か着ろや!」
「えー…だってさー、下着はほら…昨日のさ、イロイロで、ねぇ?ちょっと着たくない感じになってるじゃん?って、んもう!察してよ!」
「あぁ…そっか、ごめん。っじゃなくて!」
「あ、なに?こんな格好でいたら、またムラっと……」
「するか!ボケッ!」
「じゃあTシャツか何か貸してよ」
なんだーぁ?
何なんだ、この下僕感…。
なんだか釈然としないまま、ハーフパンツとTシャツを取りに行くオレ。
「…はぁ……」
ため息混じりで、それでも千紘に着せる服だから…と、結構気に入ってるTシャツを選ぶオレ…。
「ほらよ…これ着てろ…って、おいっ!」
思わず着替えを落としそうになった。
「ふぅー………あ、ありがとー!!」
「……た、た、煙草?!」
「え?あぁ煙草?私のでよければ吸っていいよ?でも昨日“お前のやつ、細過ぎてなんかやだ”って言ってたけど、いいの?」
「だーッ!もう!」
お前がね、
いっつも“お兄ちゃん!”“にぃに!”ってくっついて歩いてたお前が、だよ?
バスタオル一枚の姿で、
オレんちで、
細いカプリをくわえてて、
半乾きの髪で、
剥き出しの白い肩が美味しそうで、
あ、最後のは間違った。
とにかく!
突っ込みどころが満載過ぎて、
オレ、ぶっ倒れそうだわ。
何も言わずに手渡した着替えを大事そうに受けとると、シオラシイ顔で、
「さすがに生着替えは恥ずかしいから、向こう行くね」
なんて、寝室へと入っていく。
「うっわ!何、このシャツ!ヨレヨレ!ダサっ(笑)」
「………」
オレ…泣いてもいいですか…。
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