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お兄ちゃんが、三次会をどうとか帰る人用のタクシーの手配とか、チョロチョロと忙しなく動いているのをジーッと見ていた。
主役なのに気を遣わないといけないものなんだ…。
カナさんも、ほとんど食事らしい食事をしていないし…。
結婚式って、面倒なんだな。
私は、式はしなくていいや。
大好きな人と一緒にいられるだけで…。
そういうのが同じ感性の人か、
まったく苦にせず動いてくれる人と結婚しよ。
………にぃには、どっちかな?
“めんどくせ”って言いながら、“しょーがねぇなぁ”…ってアレコレやってくれるタイプかも。
それとも、“ちゃんとやろうよ。一生に一度だし、綺麗なお前が見たいな”とか甘いこと言っちゃうタイプだったり?(笑)
あれ?にぃに……どこにいる?
あ………いた。
お兄ちゃんに話しかけつつ横にいるカナさんを見る目は、
私は向けられたことがない、
優しい目だ。
優しくて、愛おしくてしょうがないってまなざしの中に、切なくて苦しいのが見て取れる、そんな視線。
そんな顔なのに、“幸せになってね”なんて…。
あ、帰るのかな?
ふふ…相変わらずの背中(笑)
って、ちょっと!何、あの女っ!
髪、巻きすぎだし、化粧…ヤバいんだけど(笑)
あの感じ……三次会に誘ってる?
もーっ!
にぃにはね、傷心なの!
あんたはわからないだろうけど、私にはわかるの!
それに、あんたになんかにぃにを癒せないから!
その役目は私!って、
ずーっとずーっと決めてたんだから!
にぃにも、
そんな女に引っかからないでよ?
急がなきゃ!
“三次会…行きますか?”
“あー…オレはいいや”
“えー♪行きましょぉよぉ~”
“いや…行かないよ、オレは”
“いいじゃないですかぁ~!”
“『行かない』って言ってるの、わかんないの?”
“え?…あんた…誰?てか、話に入って来ないでくれる?私と西森さんで喋ってんだけど?”
“うるさい、三十路女ッ!”
“は?!”
“くふふふ(笑)”
“西森さんってば~笑わないでくださいよぉ~”
“うーわぁ…必死さが痛いわー”
“ちょっ!何なのあんたッ!”
“ぷくくく(笑)”
“消えて?さっさと。行こ!にぃに”
“ってことらしいんで、じゃあね(笑)”
“……”
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