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「ひろみさん、それ、ホント?」
「ホントだけど!」
「好きじゃないけど、オレとこーゆーことしたいってわけ?」
「……いけないっ?」
「いけなくないけど……」
「けど、何よ」
「ん?(笑)」
そう言ってるくせに、顔は真っ赤で。
今口にしたことは嘘なんだろうと手に取るようにわかって、
彼女と同じ気持ちだったのかと安堵するオレはどうしても頬がデレデレと緩んでいく。
「もういいからさっさと抱いっ………」
「もういいから、はこっちのセリフ」
強がった言葉を吐き出すその小さめの唇を人差し指で封じた。
「さっさと、なんかヤルわけないでしょ?もったいない!」
「は?」
「好きな人を初めて抱くのにさっさと済ませるなんて」
「今………なんて?」
「ん?何でもない(笑)」
唇をふわりと重ねると、モゴモゴ言っていた彼女がしゅんとしおらしくなってオレのキスを受け入れていく。
下唇を食むと薄く開いた唇の間。
その隙間から舌先で歯列をなぞると、ぞくりと粟立つオレと彼女の肌。
その反応に完全にスイッチが入ったオレは、彼女を両腕で抱きしめながら、
想いは通じ合ったんだと勝手に思い込んで喜びに浸り、
1度目は愛おしい想いが伝わるように。
2度目は欲に任せて。
彼女と高みへと昇りつめた。
彼女が流す透明な水の意味を誤解したままで。
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