序章 《東雲の血》

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散策できるという道はすぐに見つかった。 「でもほんとに何もねぇなぁ。俺達の住んでるとこがかなりの都会に見えるわ・・・」 「でも、気持ちいいね。なんかスッキリするっていうか。」 「まぁ、確かにな。空気に味があるっていうか。都会じゃ味わえない空気だよな。」 俺達は暫くの間、散歩を楽しんだ。 日も暮れなかった頃に帰った俺達は、 廊下でマキさんと会う。 「お帰りなさいませ。散歩はどうでしたか?そろそろ夕飯ですので、お部屋でお待ちになってて下さいね?」 「はい。分かりました。じゃ智里行こうぜ。」 部屋の簡単な道を聞いた俺達は、その部屋へと移動した。 部屋には、もう母さんと祖父ちゃんが来ていて。二人で話をしているようだった。 「あら、二人とも遅かったわね?迷子になったと思って心配してたわ。」 「そういえば、お前が小さい頃迷子になったことがあったのぅ。」 母さんは墓穴を掘って、慌てて祖父ちゃんの口を塞いだ。 俺の思った通り、母さんは経験者だったらしい。 「昔の事よ。それにあなたよりもずっと小さい頃なんだから。」 「別に俺は何も言ってないだろ。母さんが自分で墓穴を掘っただけじゃないか。」 「うっ!」 「まぁ、そう言う泰史も危なかったけどねー」 「な、なんのことですか?」 「なに智里ちゃん。何かあったの?」 「泰史が曲がるところを間違えたんですよ。私が教えなかったら、私達も迷子になってました。」 「ほら、見なさい。やっぱり私の子だもの、同じことするって思ってたわー」 となぜか胸を張って威張る母さん。 「いや、そこは威張れるところじゃないだろ・・・・・・」 「お前はほんとに中身が成長しとらんな。智里さんを少しは見習え!」 俺は、心の中で智里も充分子供っぽいと心底思う。 「いたっ!!!!」 そう思った所で智里が背中をつねる。 「な、なにすんだよ。」 「私も子供っぽいって思ってたでしょ。その仕返し。」 「だから、表情で読むな・・・・・・違ってたらどうするつもりだよ。」 「その時は、その時。で?今のは?」 「ごめんなさい。」 よし。といって一応許してくれた。というより自分の勘が当たった事に満足しているようだ。
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