序章 《東雲の血》

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「東雲の家には古い伝承がある。 それは、八代目に開祖が甦るという。 そんな古い伝承じゃ、と言ってもすでに忘れ去られていた伝承じゃ。ワシもその文献を見て初めて知ったのじゃからな。 正確な言い方は八代回帰と呼ばれるらしい。 そして、その八代回帰となった者は、開祖に会う運命を持つと。」 「あ、あってどうするの?」 「わからん。しかし、開祖は最初は人を助け、救っていたが、人の欲望に嫌気がさし、次第に心を闇に蝕まれていったと書かれてある。そして、自らを戒めたと。」 闇に蝕まれた? 人を殺したかもしれないってことか? 「泰史、お前が考えてる事は、推測じゃ、そうかもしれないしそうでないかもしれん。 しかし、初めに言ったが、人を救っていたのもまた事実じゃ。怜香から聞いた。 お前は、呪いを解くのに必要なのは心だとそう言ったそうじゃが、 それでいい。お前の心次第でいい力にも悪い力にもなる。 お前は一人ではない。あまり深く意識するのではないぞ?」 「俺は、これからどうすればいいの?修行すればなんとかなるのかな。」 「修行は無理じゃ。小さい頃から意識しなければならん。今やっても上手くいかない事で不安になるだけじゃ。まぁ怜香が教えてれば多少はましになったじゃろうが力がない怜香に言ってももはや詮なき事じゃ。 言えることと言えば、疑うな。信じるんじゃ周りを・・・何より自分をじゃ。」 「まぁどうしても何かの気休め程度にとなるならば基本的な事は教えてやろう。」 「出来る事は全部したいんだ。お願いしてもいいかな?祖父ちゃん。」 「分かった。時間がある時はいつでも来なさい。出来る限りの協力はしよう。」 「話は変わるけど、お父さん。明日の用事ってなんなの?」 「ん?あぁ、仕事じゃ。たまに霊媒を頼む人がおっての。」
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