序章 《東雲の血》

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霊媒か・・・・・・ もしかしたら何か参考になるかもしれないと思った俺は、祖父ちゃんに聞いてみることにした。 「祖父ちゃん。それってどういう感じなの?なんて言えばいいかな。とりあえず内容が知りたいんだけど。」 「ん?あぁ、古い民家で不可解な現象が立て続けに起こっているらしくてな。それを突き止めて解決するんじゃ。それがどうかしたのか?」 「うん。修行は出来ないかもしれないけど。それでも今は知識が必要だと思うんだ。だから邪魔じゃなければでいいんだけど、連れていってくれないかな?」 「ん?んん・・・・・・まぁ、聞いた感じでは危険ではなさそうだし、別に構わんが。」 「じゃあ、頼むよ。明日だよね?」 「まぁ来たければ来なさい。明日の朝に出る。まぁそんなに長い時間はかからんだろう。」 「えー泰史も行くなら私も行きたいなー」 「は?遊びじゃないんだぞ?」 「そんなのわかってるよ!ねぇお祖父ちゃん。私も行っていい?お願い!」 智里が普段とは全く違う声で、正に猫撫で声と相応しい声色で祖父ちゃんに頼むもとい脅迫する。 正直に言うとちょっと。いや、かなり引いた。 「む、むぅ、しかし智里さん。危険なことには変わりないんじゃぞ?」 「大丈夫です!泰史がきっと守ってくれますから!!」 「はぁ?勝手に言っといて俺任せかよ・・・」 「ま、まぁそれならいいか・・・・・・泰史しっかり守ってあげるんだぞ?」 「ちょっ、祖父ちゃんまで・・・無責任な・・・」 渋々だが祖父ちゃんは智里の同行を許す。 しかし、俺の目にはただ若い女の子に猫撫で声を出されたら断るに断れないという事に至ったのだとそう見えたのだった。 その証拠に鼻の下が少し延びている。 母さんは母さんで我関せずといった無関心全開。 俺は溜め息をつくと諦める。 「わかったよ。絶対に邪魔すんなよ。それと、俺から離れんなよ。」 智里は元気よく返事をする。
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