序章 《東雲の血》

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「ふぅ・・・・・・やっと着いたぁ・・・」 俺達は、長い時間をかけてようやく目的地へと着いた。 「つうかえらい遠いなぁ・・・さすがに疲れたよ・・・」 俺がぼやいたのを母さんがいう。 「だらしないわねぇ。ほら、しゃんとしてこれからお爺ちゃんに会うんだからきちっとしないとダメよ?お爺ちゃんは恐いわよぅ。」 そう言って母さんは俺の背中を叩く。 それを見て、隣にいる彼女は笑う。 「そうだよ。泰史これくらいでへばっちゃってだらしないんだから。」 あ、自己紹介が遅れたな。 俺の名前は東雲 泰史(しののめ やすし) ちょっと前までは広田だったんだが、 色々あって母さんの旧姓を名乗ることにしたんだ。 そして、俺を笑ったのが、 中村 智里 (なかむら ちさと) 俺の彼女だ。 そして、今俺達が来ている場所が母さん 東雲 怜香 (しののめ れいか)の実家 で祖父ちゃんがいる家だ。 「聞いていた通りでかいな・・・・・・」 「なんか如何にもって感じ」 「つーかなんで智里まで来たんだ?」 「え?なんか面白そうだったし?それに高校卒業して今休みだから暇だったし?」 「だからって来ることないだろ・・・」 「だって、泰史最近本書いてて構ってくれなかったじゃん!」 「お熱いわねぇ~ごちそうさまです」 母さんが茶化す。 あの事件以降、智里はすごい甘えたがるようになった。今までの反動だろうか、あの事件で何か思うところがあったのかは分からないが・・・・・・ 今や母さんとはすごい仲良く仲の良い親子に見えるのではなく最早仲の良い親子そのものとかしていた。 勿論家族ぐるみの付き合いも大幅に増え、この前も四人で一緒に旅行に行ってきたばかりだった。
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