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決して曲がらない、真っ直ぐなむーちゃんは謝れば許してやると言う教諭を睨みつけて、そして、頭突きを食らわせた。
結果、一週間だったかな。停学処分となった。
まだ、小学生だった俺はむーちゃんが学校で何があったのか、全然知らなくて
ただ、いつもはまだ帰ってきていないはずの時間にむーちゃんがいてくれることが嬉しくてはしゃいでた。
ふたつ、たったふたつ歳が離れてるだけで、俺はむーちゃんがどんなことにあっていたのかを知らなかったんだ。
「すっごい助かった、むーちゃん、ありがと」
「……俺はなんも」
「したした、めっちゃした。裏の倉庫、めっちゃ綺麗になってた。俺、あんなに整理整頓された倉庫始めてみた。あと、ジャガイモもニンジンもめっちゃ切ってあった」
学校じゃ掃除なんてしないくせに。
部屋だって、隅っこに漫画本山積みにしてるくせに。
裏の倉庫、本当に綺麗にしてくれた。
いつもは俺が自炊手伝わないとぶーたれるのに、ボールいっぱいジャガイモの皮むき、大変だったでしょ?
「たまねぎ、しみなかった?」
「……」
いつも、昔からずっと今でもむーちゃんは俺のスーパーヒーローだよ。
「むーちゃん?」
「しっ! しみるかよ! んなのっ!」
本当に、ものすごく大好きだ。
困るくらい、むーちゃんのことが好きだよ。
「なんなんだよっ! てめぇ」
「え? 何? 痛いってば」
思いっきり肩をパンチされて驚いた。
なんで、この流れでパンチ繰り出してくんの?
しかも、本気のやつじゃん。
超痛いんですけど。
「ムカつく!」
「えぇぇ?」
ムカつかれるとか。
「レジ、打ってんとこ、カッコよかった」
「……え? 俺?」
コクン、って頷いて、いっぱい頑張ったせいでセットが緩んでる金髪がふわりと揺れた。
「は、働いてる男って感じがした」
「……」
「昔はチビだったくせに」
「……」
「ドキドキしたじゃんか」
緊張してお客さんを睨みつけちゃってたけどさ、その緊張の中に俺を見て感じたドキドキも入ってたりする?
睨み付けてないと今みたいな、抱き締めたくて仕方なくなるような可愛い顔になっちゃうから、なんて理由も入ってた?
ねぇ、俺、カッコよかった?
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