嵐の後の胸騒ぎ

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「ばあちゃん。商品化が決まってた物だけじゃなくて、商品化にこぎつけなかった物まで僕のメニューだけが盗まれたんだよ。どう思う?」 ばあちゃんはお茶を飲みながら顔をしかめた。 「章悟、誰かに恨まれるような事した?」 「僕が?」 人に恨まれるような事って…なんかしたっけ? ばあちゃんは腕組みをして、頭を左右に揺らし始めた。 ああ、久々に出た。 ばあちゃんは推理物のドラマが大好きで、ドラマを見ながら犯行手口や真犯人を推理する時のポーズがこれだ。 「章悟に恨みのある人間が、杏お嬢さんを辞めさせるための駒として章悟を狙ったのかも…。こういう場合は大抵、個人的な怨恨の可能性が高くて、実行犯と別に黒幕がいるのよね。」 「…そうなんだ…。」 ばあちゃん探偵・弥栄子(ヤエコ)降臨だ…。 「黒幕も実行犯も、杏お嬢さんと章悟の両方を知ってる人間じゃないの?」 「それって…社内の人間って事?」 「黒幕は二人をよく知ってる社内の人間を使って犯行に及んだと…。黒幕の狙いは杏お嬢さんだとして…どんな甘い話で実行犯をたぶらかしたのかしら。」
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