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一般の入院患者はそうそう入れないような特別室の重厚なドアの前で、僕は辞世の句を考えていた。
このドアが地獄への扉に見える。
それなのにばあちゃんは、当たり前のようにそのドアを軽やかにノックした。
「どうぞ。」
中から微かに低い声が聞こえた。
僕の鼓動が速くなる。
「失礼します。」
ばあちゃんはドアを開けて、頭を下げた。
僕も慌てて頭を下げた。
「大旦那様、お久しゅうございます。」
お祖父様がベッドの上で目を見開いた。
その顔を見て、ばあちゃんはにっこり笑った。
「修蔵ちゃんって呼んだ方がいいかしら?」
……修蔵ちゃん?!
「おお…弥栄ちゃんか!!」
……弥栄ちゃん?!
ばあちゃんとお祖父様は、子供みたいに嬉しそうに笑っている。
あの鬼気迫るオーラはどこに行ったんだよ?
一体どうなってんだ?
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