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『どう、可愛い女の子でしょ』
『ああ、本当に可愛いな。義姉さんと、兄さんに良く似ているよ』
義姉さんは、腕の中に抱いている女児を。愛おしげな眼差しで見つめながら。
『そうね、一目あの人にも会わせてあげたかったと、心から思うわ』
俺と、義姉さんの夫だった兄さんは。一卵性の双生児の兄弟だったが。兄さんは義姉さんと結婚した後に不治の病を患った。そして、担当医から余命半年と宣告された後に。兄さんから人生最後の頼みをされた。
【俺とお前は同じ遺伝子を持つ一卵性の双生児の兄弟だ。頼む、もう俺には妻を妊娠させる事が出来そうにない。俺が妻の食事に睡眠導入剤を混ぜるから、お前が妻を孕ませてくれ。俺と同じ遺伝子を持つ弟のお前が、俺の愛した妻を孕ませてくれるなら。俺は安心してあの世に逝ける】
『兄さんの喪が明けたら、結婚式を挙げよう』
『ええ、そうね。ねえ、この子の事を貴方の子供として愛してくれる?』
俺は義姉さん…、兄さんの死後に婚約した女性に対して頷いて。
『勿論さ、俺と兄さんは同じ遺伝子を持つ、一卵性の双生児の兄弟だったんだから。兄さんの子供なら、俺の子供さ』
『ありがとう。貴方は本当に優しい人ね』
俺は兄嫁だった最愛の女性とキスをしながら、この秘密は墓まで持って行くと心に誓った。
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