3回目のコンビニ

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 店には先客がいて、その女の子は、ちょうど一万円札を受け取って困ったような顔をしているところだった。  僕は、ちょっとタイミングを外すつもりで店の中ほどのほうへぶらぶらと歩いていったところ、手に触れるものがあって、つかんでみたらレトルトの雑炊だった。  もう風邪もだいぶいいようだし、雑炊ってこともないだろうと元の棚に戻そうとしたとき、例の店長がいつの間にかすぐ横に立っていた。  一瞬、息が止まりそうになったのを見抜かれたかどうか、おそるおそるその男の顔を覗き込んで見ると、男は、 「毎度ありがとうございます。お待ちしていました。  しかしハンバーグ弁当は無理ですよ。あなたはまた熱が出てきたようだ。だからあなたはその雑炊を選んだのです。」 「………。」 「信じないのですか?  でも、うちへ帰って体温計で測って見るといいですよ。  運命には逆らえない。」 「何だって?」 「うちでは、これでも品揃えや商品の置き方にずいぶん気を使っているんですよ。  お客さんも聞いたことがあるでしょう。コンビニというのは狭い店舗で多くの物を扱って売り上げを延ばさなきゃいけない。そのためには、例えば昼と夕方、それに深夜では並べ方も違うのですよ。主婦と高校生とサラリーマンではもちろん買うものが違いますからね。」 「………。」 「ところが、そこまでならどこのコンビニも同じです。  うちの凄いところは、なんて自分で言うのも何なんですけどね、来るお客様ごとに品揃えをしとくんです。  一番最初にお越しになったときにもお話ししたでしょう。だからあなたにはあなたが買うべきものが探せるようになっている。」
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