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驚いて振り向くと、五十くらいの男が、年恰好に似合わないコンビニのユニフォームを着て、そばに立っていた。
この店の店長だろうか。買いもしない商品をあんまりいじっていて文句を言いにきたのだろうか、でもそんな事でいちいち説教されてもかなわないよな、と思って睨み返した途端、
「あなたは風邪をひいているのでしょう。そういうときは消化のいい物を食べなきゃだめですよ。
はい、こちらにお湯だけでできるお粥がありますからこれにしましょう。」
そういうと、その固めのビニールに入ったお粥を手にどんどんレジのほうへ歩いていく。
こんなお節介なコンビニは見たこともない。大体が「いらっしゃいませ」もだれに向かって言ってるのか分からないように控え目で、こちらから聞かない限りは何も言わず、必要最小限度の会話で成り立っているのがコンビニの世界と言うものではないのか。
とはいえ、その男の言い方には不思議な迫力があったし、本当を言えば、今までは食べたことがなかったけれども、そのお粥にも魅力を感じたので、まあいいか、などと思いながら、気がついたら、そのままレジまでついて行っていた。
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