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私はパソコンで言葉の意味を調べていた。 国語の宿題で出たから、最初は紙の辞書で調べようと思っていたが家に帰ると面倒になったのだのだからしょうがない。 部屋にキーをたたく音が響く。 書き進めているとある言葉で手が止まった。 墓場まで持っていく  意味・・・必死に隠す  同義語・・・無かった事。証拠隠蔽 「墓場まで・・・」 墓場ということは死ぬまでということか。 死ぬまで誰にもいえないことなんてどんなことなのか。 どんな時にできるのか。 思わず、私にもあるかな。と考えてみていた。 ちくり。胸の奥が少し痛んだ。 私のまだ誰にも言ってないこと。これからも言えないこと。 小学4年生の時、お母さんと二人で近くのスーパーに行った。 その頃私はプチ反抗期で、「お母さんと二人で買い物」という行為があまり好きではなかった。 今ならじゃあ、留守番しとけよ。と思うが、私は家に一人でいるのも嫌だった。 だからいつも、買い物の時は食品売り場から少し離れた、文房具コーナーで買い物が終わるのを待っていた。 その日は担任の先生に怒られて機嫌が斜めだった。 そんな気持ちの中、ぶらぶらしていると、白や青だけの地味で、機能性重視!という消しゴムの上に誰かが落としたのだろうか、てんとう虫の消しゴムが落ちていた。 いままで暗かった気持ちが少し晴れたような気がした。 「欲しい!」衝動的にそう思った。 まだレジに通されていないのも知っていた。 でもお母さんには先週キャラクターの消しゴムを買ってもらったばかり、買ってもらえるはずがない。 まわりを見渡しても誰もいない。 もうすぐお母さんも迎えに来るだろう。 てんとう虫を握り締めるとスカートのポケットの奥に押し込んだ。 そして、遠くに見えたお母さんに向かって走り出した
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