ある執事の秘め事

19/19
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「んっ…ほそいっ!聞いて…っ」 尚も喋ろうとする坊っちゃんの口を塞ぎ、足の間に膝を入れ顎を掬って上を向かせた。 「っはぁ……細井…っ?」 窓に映る光が反射して、坊っちゃんの目と濡れた唇が艶っぽく揺れる。 「そのお話は、これからする行為より重要ですか?…ご主人様。」 貴方の目に映る私も、きっとそうでしょう? 私が笑うと赤く染まった頬。優しく撫でると、泣き出しそうな顔の坊っちゃんが言った。 「いや…いい!話なんて無い!細井!細井!!」 幼い頃のように、坊っちゃんが私にすがり付く。 そうです。 貴方が聞かない限り、私は言いません。 私と貴方は禁忌だと。 貴方は私がどんなに歪んでいても、こんなに求めてくれるから。 愛してくれるから。 誰にも言いません。 ええ、死んでもね。 「愛してます、坊っちゃん。」 end
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!