親友の生命

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実は期待の右腕が右肩を負傷していたことは、新聞で取り上げられた。 ざわざわと地元を賑わしはしたが、所詮2年前の話。すぐに巷の話題は政治家のスキャンダルに移行した。 1面に載らなかったことは、達也のプライドを少し傷つけた。だけど、やっと『普通の』高校生になれた達也は、己の身から逃げていった『普通でないもの』を本気で追い求めるようになった。 達也は、驚異の回復力で根治した。 そして、いま己のなかに原石を発掘しつつある。 「なにもせずとも輝く天性のダイヤもいいけど、必死で磨いた翡翠にも価値はあるんだよ、っていえる父親になりたいな。父さんは、必死で翡翠をみがくことを苦痛に感じてしまった人だから」 達也はいま野球部のマネージャーをしながらテーピングについて学んでいる。 ゆくゆくは、理学療法士の資格を取り、プロ野球などのアスリートを支えるトレーナーになるそうだ。 狭き門と人は言うが、彼なら出来そうな気がした。
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