第37話

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ハナエは、都季の目だけを見つめていた。 真実は都季の目より語られると信じているかのように、じっと都季の心が現れるのを待っていた。 「ハナエさん!! 綾は……綾に大事はありませんか!」 都季は階を駆けおりた。 ただちに綾を案じず黙って見ていたというだけで、都季を疑うのは間違っている。 "都季は驚愕のあまり動けなかった"のだ。 「ああ、いかにすれば……。足を滑らせたところを見ていたのに……。この状況はまずいですよね。私が綾を突き落としたんだと疑われてしまうわ」 「え……? あ……ああ、そうさね」 ハナエは、ようやく安心したらしかった。 役不足の部屋付きが野次馬になって集まっていたが、都季の言葉を聞いている者などいなかった。 「後のことはあたしがやるから、都季は部屋にお戻り」 「しかし……」
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