第37話

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「いかが致しましょう。お休みになったとお伝えしましょうか?」 紫音は、斎が乗り気でないのを襖越しにも感じとったらしい。 「ああ。そうしてくれ」 「畏まりました」 衣擦れの音が遠ざかると、斎は吐息をついた。 雪美館の役人服毒死。 重ねて、下女の水死。 今は、その裏で何があったか気になるのだ。 底意地が汚い姫の性欲を満たしてやる気にはなれぬ。 折しも、遠くで女の甲高い声が聞こえた。 「姫様。お待ちください!」 「お休みでないのは判っているのよ! ええい、離せ!!」 忙しい足音が近付いてくる。 それが立ち止まるであろう襖に目を向けると、やはり憎しみのこもった手がそれを荒々しく開いた。
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