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いい加減に面倒になってきた。
おそらく、この問いに意味などない。
彼女は、自尊心を傷つけられた怒りの矛先を探しているばかりに過ぎぬ。なだめる答えを用意したところで、はねつけることしか出来ぬであろう。
「そなた。曲がり形にも貴族ならば、婦女子教本を学んでおろう。慎むことも出来ぬとは……」
ふと、紹彩志の正妻・燕麗を思い出した。
感情のままに声を荒げるなど、正妻にふさわしくない。
おそらく、この劉家の姫とて、人前であろうと激昂する質である。
「そなたとの縁もこれまでであったようだ。帰りなさい。私は二度と、そなたと会うことはない」
「そんな……」
彼女の顔から血の気が失せた。
「お待ちください! 私が悪うございました。どうか、お考えなおしください」
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