第1章 ~新月~

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 フォレストビルコーポレーション、通称『フォレストビル』は、けして大きな会社ではないが、数年前からリノベーションで実績を積み、急成長を遂げている。  そのきっかけとなったのは陽祐の存在だった。  元家具職人だった彼がこの会社に入り、リノベーション課に配属されてから、これまで小さな仕事を積み重ねて来た会社に、大きな話が舞い込んでくるようになったという。  彼の人脈と仕事ぶりは社内で評価が高い。そして今回、一番大きな仕事が目前に迫っているところだった。  複合型ファッションビルの再建で、あまり名の知れていないフォレストビルが入札を落としたことで注目を集めている。  このプロジェクトに成功すれば、更なる飛躍が期待できる。そして『商店街の復興』の実現が可能になる。  今朝の社長の会見でフォレストビルが望むことは都心や地方への進出と語っていたが、陽祐 と柚月がやりたいことは、後者の方だった。
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