5人が本棚に入れています
本棚に追加
それまでの揺れとは異質の揺れが、突然バスと乗客を襲いました。
直後に、とても大きくて暴力的な音が響き渡り、世界を埋め尽くします。
一瞬、雷が墜ちたのかと思いました。
巨大な岩。
たくさんの石。
土砂。
折れた木。
バスの後方、十数メートルのあたりに、それらの落下してきた暴力たちが埋め尽くしていました。
車内を埋めたのは
悲鳴。
鳴き声。
そして異臭。
もしもさっき、私が降りるためにバスを停めていたら、今のこの車内の様相もまったく違ったものになっていたでしょう。
私は私の下着を埋めるぬくもりと質量に絶望を感じながらも、そのことを考えずにはいられませんでした。
けっきょく私の人生最大の汚点は、落石事故がカモフラージュになり、うやむやのままに収まりましたが。
最初のコメントを投稿しよう!