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急な腹痛に見舞われての途中下車。
その些細な行為のおかげで私は命拾いをしました。
バスはいつも小一時間ほどかけて、山間を縫うように進むほそい道を、集落とも呼べない小さな規模の家々の寄り集まりを三つか四つ通って小学校のある町まで向かいます。
私が降車したのは、終点の町ではもちろんなく、民家の寄った場所にある停留所でもありませんでした。
普段ならば絶対に降りないような停留所です。
私だけでなく、誰も利用する者のいない、何故そこにあるのかが分からないような場所にある、停留所です。
小学生ながらに野外で用を足すことに抵抗はあったのですが、とても小学校まで持ちそうになく、それどころか二つ先の停留所付近に住むおばの家までも持ちそうにありませんでした。
前日までの雨で下生えの草が濡れていました。
地面もぬかるんでいて運動靴の中に水が染み入ってきたことと、たくし上げたスカートの裾が藪の茂みに残った雨露をしっかりと吸収していることに気付かず、用を足し終え立ち上がった時に、ひざ裏にべちゃりと引っ付いてその冷たさに悲鳴を上げたことを覚えています。
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