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「調子はどう?」
「うるさい」
私との会話する時間さえも惜しい、と言わんばかり、鬼の形相だ。冷ややかな一瞥をもらい、しかしそれこそが余裕のない証だとわかり、ますます面白くなる。
「計画的に走らないからこうなるんだよ」
「うるさい。テストだったんだよ」
「家で勉強する姿なんてほとんど見なかったような」
「うるさい。さっさと寝ろ」
余裕だからって調子乗りやがって、と弟が悪態をつく。ちらりと液晶画面を確認。ランキングは12000位……二時間くらい走ればギリギリボーダーラインに乗る、だろうか。
まともに話してもくれない弟に燻る思いを抱く。と、睡魔が再び襲いかかってきた。欠伸の頻度が増す。
「あー……眠い。本格的に寝るわ」
「勝手にしろ。そして爆死してしまえ」
負け惜しみみたいな弟の言葉を背に、力なく手を振る。弟の言葉が現実味を帯びるなんて、夜十二時には予想だにしなかった。
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