慢心ディストピア

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「え、なんで!? どうして」  翌朝、ゲームのイベント画面を見て私は眩暈がした。  今日の夕方17:00に終了するイベントの、朝7:00の段階。普段ならば6000位くらいに入っている所、この時点でもう8000位である。完全に予想外だった。  なんで、どうして。疑問符が脳内を駆け巡る。昨日の夜まではゆるやかに、普段通りの推移をしていたはずだ。それが朝になって、急にペースが上がっている。イベントは確かに最終日だし、ラストスパートをかけてボーダーはせりあがってくるけれど、こんなに早いなんて聞いてない。 「おはよう」  寝ぼけ眼をこすって階段を下りてきた弟をつかまえる。現状を把握するためには、おそらく夜遅くまでイベントを走ったこいつに聞くしかない。 「ねえ、ちょっと! あのボーダーどうなってんの?」 「ボーダー……ああ、イベントのこと?」  弟はなんてことないように言う。 「深夜から急にペースがあがったんだよ。普段とあんまり変わらない、つーか緩やかなくらいだったから、今から走ればいけると思ったんじゃない」
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