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「嘘……でしょ……」
昼休み。
当初の想定以上に早いペースでボーダーはせりあがる。九時時点で8000位周辺をふわふわしていたランキングは、ついに10000位を下回っていた。
あと五時間。昼休みは一時間ある。無論走るしかない。
片手で食べられるおにぎりを大口で頬張りながら、右手は決して休める事無く疾駆する。一時間貼りつけば順位を上向かせることが出来る。あとはイベントが終わるまで触ることが出来ない。この時間が勝負だった。
時速は一時間で500位くらいの変動だ。であれば、昼休みが終わった段階で8000位まで持ち直せばギリギリどうにかなる。より上まで上げられれば安泰だが、一時間では現実的な数字とは言えなかった。
同僚の昼食の誘いも適当な理由をつけて断った。公園のベンチに座ってひたすら画面を叩く。叩き付けると言った方がいいくらいの気迫だった。
「……よ、し」
昼休みが終わる直前段階で7800位。なんとか走り切った。
あとは結果が出るまでイベントに触れない。私は神に祈るような気持ちでスマートフォンを鞄にしまいこんだ。
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