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彼が私の顔に唇を寄せた。
「だからちょっと待っ…!」
ちょっと待って、と言い終わるより早く唇を塞がれた。
どんなに逃れようとしても彼の唇は私の唇を捕らえて離さない。
彼の舌が私の唇をこじ開けて舌を絡め取った。
「んんっ、んーっ!!」
必死の抵抗も虚しく、私は彼のされるがままになっている。
好きでもない人とキスしているなんてどう考えてもおかしい。
それなのに私の体は、何年ぶりかの激しいキスでだんだん熱くなって、その熱に抗えなくなる。
ダメだ。
頭がボーッとして体に力が入らない。
心と体がバラバラになったみたいに、私の体の奥が忘れかけてた疼きを思い出す。
今私にキスしているのは、あの人じゃないのに。
もう戻って来ることのない人を思い浮かべ、ギュッと目を閉じた。
私が抵抗するのをやめると、彼は何度も優しくついばむようなキスをした。
「もっとしますか?」
長いキスの後、彼は私を抱きしめて耳元で囁いた。
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