ちょっと好みが似てるだけ

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駅前のオムライス専門店の前には長蛇の列ができていた。 「うわぁ…さすが人気店ですね。こんなに行列ができてるとは思わなかった。」 たかがオムライスを食べるためだけに日曜日の貴重な時間を割いてこの行列に並ぶなんてバカらしい。 どうしても食べたければ、平日のもっと空いてる時を選んで来る方が利口だと思う。 「これに並んでたら映画の時間に間に合いませんね。どうします?」 彼が腕時計を見ながら尋ねた。 「私は牛丼でもラーメンでも、食べられればなんでもいいです。」 我ながら色気のない返事だと思う。 だけど今更、好きでもないこの人相手にカッコつけたって仕方ない。 それなのに彼はなぜか嬉しそうに笑った。 「実は僕もです。じゃあ別の店にしましょう。」 結局、オムライス専門店の少し先にあるラーメン屋に入って食事をすることにした。 私は味噌ラーメンとチャーハンと餃子のセットを注文した。 初めて入った店だからあまり期待していなかったけど、料理はどれも美味しかった。 特に餃子は絶品で、おかわりとビールが欲しくなったほどだ。
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