第1章

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「それで、何で急に電子レンジの話題になったわけ?」  肝心な部分が抜けていると千晴が訊いた。 「ああ。プラズマの光を見るのに最適な方法があるんだよ。さすがにレンジ内から取り出すことは無理だけどさ」  桜太は摘まんだままだった竜田揚げを口に入れながら言った。 「火の玉に見えるようなものが作れるんだ」  すぐに莉音が補足してくれた。それで科学部の中の期待度が一気に上がる。 「火の玉?面白そう」  千晴は大きな弁当を平らげながらも興味津々だ。 「これならプラズマの実験が出来るな。林田先生に電子レンジを提供してもらおう」  芳樹も勝手に話を進めてしまう。 「そんな実験がオッケーなら、俺がやりたい色々もいいだろ?」  しっかり亜塔が実験を主張する。何がやりたいか不安だが、まあ林田が何とかしてくれるだろうと思うことにした。  こうしてどんどん怪談からずれていく科学部だった。 <参考文献> 上出洋介著『オーロラの科学 ひとはなぜオーロラにひかれるか』誠文堂新光社 川口友万著『あぶない科学実験』彩図社 薬理凶室監修『アリエナイ理科ノ教科書ⅢC』三才ブックス
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