流れ月

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「綺麗ね、葉月」 「本当、とっても綺麗よ葉月ちゃん」 ウェディングドレスを着た私を見て、母と義理の母が涙ぐんだ。 「幸せになるのよ」 母の言葉に、結婚前の気持ちを思い出して私の胸にはいろいろな思いが込み上げてくる。 月日が流れて私たちは今日、ようやく神様の前で愛を誓う。 「共哉なんて言うかしら」 夫である彼には今日までこの姿を一度も見せないままだった。 一緒に選ぶ夫婦もいるというけれど、それをしなかったのは私の意思だ。 彼との時間を長く重ねてきたから、たまには驚かせたいという思いが強くて一緒に行きたいと言う彼に何度もお願いをし、意思を通した。 彼は過保護なところがあるから、はじめはいい顔をしなかったし、密かにあとをついてきたこともあったが、内緒に進めて今日がある。 彼はどう思うだろうか…… 「大丈夫でしょうか?」 内緒に進めてきただけにきちんと見られる姿になっているかひどく不安。 さらに、お義母さんの台詞が、それを強くした。 「大丈夫じゃないわね」 「え……」 私は姿見の中の自身を上から下へ、視線を向けた。 普段しない以上の化粧を施して、純白のウェディングドレスを着た私がいる。 「大丈夫じゃないわ、きっと……」 「お義母様……」 私の不安な心と逆に彼の母親は穏やかな笑みを見せる。
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