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「パパ、ユリカ泣いちゃうよ」
小さく幼い頃、何かあるとすぐこうしてパパにすがって泣いていた。そんな場面を思い出した。考えてみれば、グアムに向かう前から、ずっと緊張の膜に体を押さえつけられていたのかもしれない。
この安心感は何だろう?昔みたいにこのまま眠ってしまいたい。
「私…また出発出来るかな?」
パパは、胸で俯く私の顔を優しく持ち上げてくれた。
ずっと前の…あの頃の…まだ小さな私を包んでくれる笑顔があった。
「ユリカはがんばり屋さんだから」
泣き顔を見られるのは恥ずかしくなかった。
素直に頷いた。パパが言うのだから、間違いない。
そうだ。
わたしは、負けず嫌いなんかじゃなかった。いつも、頑張ってるのを認めてもらいたかっただけなんだ。
「さあ、行こうか」
「うん」
私は、パパから離れて、自ら歩き出した。
これが、私にとっての新たな出発になる。
きっと…
La fin
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