5人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「どうして、って…」
ロボットは頭に手を当て、考えた。その時、一緒に頭を掻いたので、頭に乗っていた苔や土がパラパラと落ちた。
「どうしてだろうね。」
ロボットはそう言って肩をすぼめるフリをした。しかし、その言葉に少女は納得しない。
「変な人。」
「人じゃないよ、僕はロボットだから。」
それもそうか、と少女は納得した。そして、こんなにすんなりと納得してしまう自分がおかしいと感じた。もしかしてこれは夢なのか。
この世の中に、こんなロボットを見たことがないし、自分がそのロボットと話しているということも、よく考えたらおかしな話だと思ったからだ。
「じゃあ、あなたの名前を聞かせて、ロボットさん。」
これが夢なら、それもそれで構わない。少女はこのひと時の夢を大切にしたかった。
「名前……僕のことは、ゼロと呼んで。」
ゼロの無機質な目が少女を見つめている。
「君の名前は?」
ゼロにそう尋ねられて、少女は「マリー。」とだけ告げた。
ゼロは少女の名前を聞いて、マリーか、そうか……と独り言を言うと、近くの椅子に座って考え込んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!