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「それは、島に着いてから話すよ。今君は、僕についてくるか、ついてこないか、それだけを決めればいい。」
マリーは俯いた。マリーは考え事をする時、俯くらしい。
少女はゼロを疑うことをしなかった。ゼロの向かう場所がどこでも、自分をこの世界から連れ出してくれるならば、ついていこうと決めた。
隙間風が爽やかに吹く。窓の外の霧が渦を巻いているのがわかった。時期に晴れるだろう。
「いいわ、行きましょう。」
少女は微笑んだ。それに応えるように、ゼロも微笑んだ、気がした。
ゼロは、マリーに手招きをして、自分に付いてくるよう示す。
マリーはゼロと、暗闇の方へ進んだ。そこには扉があった。
その扉は、小屋に似合わず、小綺麗で劣化していなかった。しかし、特別なものは何もない。綺麗過ぎることに違和感がある。まるで、扉だけ別の次元にあるかのようだった。
マリーは扉を見ると、すぐに、これが伝説の扉だと感じた。
べつの世界へつながる扉。もしかしたら、選ばれた特定の人じゃなければ、見つけられないものなのかもしれない。
マリーは選ばれたのだ、扉の向こうの住人に。
ゼロは黙って扉を開けた。そして、マリーの方を向いた。
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