1組目・3

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 目が覚めると、既に彼が隣にいた。 「言っとくけど、お姉さんを生かしてやったの僕だからね。感謝してよね」  彼はそう言うと、割り箸に刺さった焼き魚を私に手渡した。……その魚と割り箸は一体何処から? と、聞いてみる。 「そんなことより、食べたらトンネル向かいましょうね。恩人の僕と共に」  何よ。先に刺したのは貴方じゃない。ギロっと睨む。 「そうですねぇ。良いじゃないですかぁ、一度生まれ変わったと思えば」  この魚、毒でも塗ってあるんじゃないだろうか。分からないなりに匂いを嗅いでみる。うん、分からない。でも、今の私はとにかくお腹がすいていた。死ぬ気で魚にがっついた。普通に美味しい。 「ひとりぼっちで空腹で、暇を持て余す物も無い。嫌だったでしょう? また、僕と一緒にお話しして行きましょう? 僕だって寂しいんですよ」  屈託の無い笑顔で言われる。わけが分からない。そもそも、何で出口前で私は彼に刺されたのか。其処が諸悪の根源だ。 「ひっどい人だぁ~諸悪の根源だなんて」  言われても当然のことしてるから。  ……仕方ない。多分、進まないと、一生こんな感じなんだ。いや、最悪彼に放っておかれてたら、そのまま野垂れ死にしてたかもしれない。私は立ちあがると、嬉しそうな彼の目の前で割り箸を真っ二つに割った。  さっさと行くわよ。彼に言うと、「うん!」と満面の笑みで歩み寄ってきた。  またこの暗闇かぁ。覚悟して来てみたけど、怖いんだよなぁ。戻りたいんだけど、不思議と戻っちゃいけない気もする。どうしてだろう。 「お姉さん、前は家族のこといっぱい教えてもらったから、今度はどうしようかな~……好きな食べ物何?」  何ですかその幼稚な質問は。けど答えないと多分刺されるんだろうな。肉。仕方なく答える。 「ってことは肉食系女子だったりして?」  幼稚な質問。だったら野菜好きは皆草食系だとでも? 「そうか~あ、僕のことも聞きたいんですよね? ちなみに僕は」  聞きたくないです。 「そっかそっか。じゃあ何の肉が好き?」  進めるんかい。肉なら何でも好きだけど、無難にハンバーグとか言っとくか。 「そっか。じゃあ次はハンバーグ持ってくるね」  ああもうやだ。刺す前提で話してるこの人。どうしてそう言うことを簡単に口走れるんでしょうか。第一どっから調達して来てるのよって。 「じゃあ今日の下着の色は」
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