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思い切り頭をひっぱたいた。暗闇に慣れ過ぎて、彼の大体の身長や位置が分かる様になってきたらしい。仮にこれから暫く洞窟で生活する様になったら、きっと大活躍する能力ね。彼は声高々に笑った。トンネルだから、声がすごく響く。
「聞きたいな~」
もう一度叩いた。刺された時の仕返しをなるべく掌に込めた。
「駄目ですか。じゃあ、嫌いな食べ物は?」
前も言った通り母はよく叱る厳しい人だった。食べたことあるものなら全て美味しく頂ける。
「エラいですね~。弟なんて……あ、いや」
弟? 弟いたんだ。彼の方を向くと、彼は聞く隙も与えず私に質問する。
「無人島に行くけど、一つしか物を持ってけない。そうなると、何を持ってきます?」
もう聞きたいこと無いんじゃないの? ってくらいどうでも良い質問してくる。無難にナイフかな。
「ナイフかぁ。僕だったらお姉さん連れてくなぁ」
そしてまた同じ様な出来事を繰り返そうと?
「どうでしょう?」
彼はニコニコ笑っている。かなり怪しい。第一他に連れてく人くらいいるだろうに。もっと年相応の彼女とか。
「こう見えて僕彼女いないんですよ? 一度もいないんです。だからお姉さんが彼女みたいなものですよ」
そんな彼女を刺して笑顔でいるこの人の精神。いわゆるヤンデレと言うヤツ? って言うか私彼氏いるし。
「そう言うお姉さんはツンデレでしょ? すっごいツンツンしてるもん」
貴方がそうさせてるのよ。彼氏にはこんな言い方……あんまり、しないし。
「どうだか。ね、お姉さん? イケメンで性格悪いのと、ブスで性格良いのどっちが良い?」
後者で。貴方みたいな人は最悪ね。
「あ、やっぱりツンデレだ。お姉さんって運動神経良いタイプ? スタイル結構良いけど」
学生時代は陸上部だったからね。県の大会でメダル取ったことは昔あったから、良い方だとは思う。そう言う貴方も運動で来そうな体型じゃ?
「運動か~。全く動かないわけじゃないけど、そんなに好きでも無いですよ。痩せてるのはどっちかと言うとガリガリだからかな」
男ならもっとしゃきっとして! 動いて食べまくったら良いのに。その方が絶対モテるのに。顔は良いんだから。
「どうも。お姉さんさぁ、怖いものとかあるの? あ、僕以外で」
お化けも虫も大丈夫な方だけど。こうして貴方と歩いてて、孤独って怖いのねとは思ったわ。あと、死ぬのも怖いなぁ。
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