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 気がつけば私は、とても不気味で陳腐な世界に1人いた。  前は出口の見えない真っ暗なトンネル。いかにも、何かが出そうな所だ。立ち上がり、後ろを見た。此方も着地点が見えない程真っ暗な、高い崖がある。  どうして私は此処にいるのだろう? 此処から出るにはどうすれば良いのだろう? 疑問ばかりが浮かぶ。しかしこれは……前に、進むしか無いのだろうか。 「……あの、すみません」  突然話しかけられて動揺し、心臓が跳ね上がった。てっきり一人だとばかり思っていた。 「宜しければ、一緒に行きませんか?」  清純そうな声の主は、私より少し背の高い男性だった。茶髪でベビーフェイスの可愛らしい見た目は、友人が買っている雑誌に出てくる人たちに似ている。 「僕も気がついたらここにいたんです。かっこ悪い話ですが、このトンネルを一人で行くのはちょっと気が引けて……ニ人で適当にだべりながら行きません?」  優しそうな人だし男の人なら頼りがいがある。そうも思ったが、その前に一つ疑問があった。この人、どこから来たのだろう。  ……とは言っても、相手から見たら自分も同じか。 「ええ、是非お願いします」 「良かった。それじゃあ行きましょう!」  青年は無垢な笑顔で安堵した。やっぱり、この人は悪い人じゃないんだな。私もホッと息をついて頷いた。
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